インサイダー取引

記事数:(5)

ルール

上場会社役員情報登録照合確認制度とは

本制度は、株式会社日本証券業協会が運営する「J-IRISS」というシステムを活用し、市場の公正性を守るためにあります。上場企業は、役員の情報をこのシステムに登録します。これにより、証券会社などの金融機関は、顧客が内部情報を悪用して不正な取引を行うことを防ぐことができます。具体的には、金融機関は定期的に顧客のデータとシステム上の情報を照らし合わせ、差異がないかを確認します。この確認作業を通して、未公開の重要な情報を知る者が、その情報で不当な利益を得ることを防ぎます。投資家を保護し、金融市場への信頼を深める上で、本制度は非常に重要な役割を果たしています。
経済の歴史

過去の教訓:わが国を揺るがしたリクルート事件の真相

1988年、我が国を揺るがす「リクルート事件」が発覚しました。情報関連企業が、未公開株譲渡という巧妙な手段で、政界、官界、財界の要人へ巨額の利益を供与した贈賄事件です。この事件は、政治と経済の腐敗を露呈させ、国民に深い不信感を抱かせました。当初、規模と影響の大きさに多くの人々が困惑しましたが、捜査の進展と共に全貌が明らかになり、衝撃は増大しました。一企業の不正が社会全体に及ぼす影響を、国民は目の当たりにしたのです。この事件は、民主主義の根幹を揺るがし、今後の社会のあり方を深く考えさせる転換点となりました。
ルール

情報遮断壁:公正な市場を維持するための防壁

情報遮断壁とは、企業の内部情報を不正利用した取引を防ぐために設けられた、証券業界における自主規制です。具体的には、株式の引受部門と顧客への投資助言部門との間に、情報の流れを遮断する壁を設けます。未公開の重要情報が営業部門に漏洩し、一部の投資家だけが有利になる事態を防ぐのが目的です。この仕組みは、市場の公平性を保ち、全ての投資家が平等な立場で投資判断できるようにするために不可欠です。内部情報を使った不公正な取引は、市場全体の信頼を損なうため、証券会社は情報遮断壁を厳格に運用し、その有効性を常に監視する必要があります。
ルール

内部情報利用の不正取引:実態と法規制

内部情報利用の不正取引とは、未公開の重要情報を知り得る立場にある者が、その情報を利用して株式などの売買を行い、不当な利益を得る行為です。これは、市場の公平性を損ない、投資家の信頼を失墜させるため、多くの国で法的に禁じられています。例えば、新薬開発に関わる者が、臨床試験の成功という情報を公表前に知り、自社株を購入した場合などが該当します。このような行為は、情報格差を利用した不公正な取引とみなされます。企業合併や業績予想の修正など、株価に大きな影響を与える情報は、特に注意が必要です。公正な市場を維持し、健全な投資環境を守るために、厳格な監視と取り締まりが求められます。
経済の歴史

負債市場の革命家、マイケル・ミルケンの光と影

一九八〇年代、金融業界に大きな変革をもたらしたのが、マイケル・ミルケンという人物です。彼は、従来注目されていなかった低格付け債に着目し、その潜在能力を最大限に引き出しました。大手金融機関が高格付け債にしか目を向けなかった時代に、ミルケンは低格付け債のリスクと収益性の均衡を分析し、魅力的な投資商品として市場に提供したのです。個々の債券の市場価格、危険度、収益率などを総合的に評価することで、高利回り債券の潜在的な価値を最大限に引き出しました。この手法により、彼は金融業界で急速に頭角を現し、「高利回り債券の帝王」と呼ばれるようになりました。彼の登場は、資金調達が困難だった新興企業や中小企業に新たな道を開き、経済全体の活性化にも貢献したと言われています。しかし、その成功の裏には不正行為があったことも否定できません。