
金融安定のための巨視的健全性政策とは
巨視的健全性政策は、金融システム全体の安定を維持し、金融危機を未然に防ぐ、あるいはその影響を和らげることを目的としています。従来の健全性政策が個々の金融機関の健全性に注目していたのに対し、この政策では金融システム全体における相互のつながりや影響の広がり、つまり組織的な危険性に焦点を当てています。個々の金融機関が健全であっても、システム全体としては脆弱である可能性があるという考えに基づいているからです。例えば、不動産価格の急激な上昇や過度な信用供与の拡大は、個々の金融機関の収益を向上させるかもしれませんが、同時に金融システム全体のリスクを高める可能性があります。巨視的健全性政策は、このようなシステム全体のリスクに対処するため、金融機関全体に対する規制や監督を通じて、金融システムの安定を維持しようとします。金融危機が経済全体に深刻な影響を与える可能性があるという教訓から、近年その重要性が増しています。金融システムの安定は、経済成長と繁栄に不可欠な要素であり、巨視的健全性政策はその重要な役割を担っています。