
急激な円高を食い止めた大規模な円売り介入
二千三年九月頃より、中東地域の情勢不安から投機目的の資金が円買いに集中し、急激な円高が進行しました。具体的には、一合衆国ドル百十七円程度であった為替相場が、百五円台まで急落しました。このような急激な円高は、わが国の経済に深刻な影響を及ぼしかねません。輸出産業においては、海外での価格競争力が低下し、収益が悪化する恐れがあります。また、輸入物価の下落は、国内の物価下落を加速させる可能性もあります。このような状況を打開するため、日本銀行は二千四年初頭から大規模な円売り介入を実施しました。一日あたり一兆円規模という巨額の資金を投入し、市場の安定化を図りました。継続的な円売り介入によって、急激な円高の流れを食い止めることが、当時の重要な政策目標でした。