
過去の東京為替市場における特別円相場
かつて東京の外国為替市場は、独特な円相場、通称「TOMO円」が存在しました。これは、東京市場におけるドル円の直物取引が翌日決済で行われていたことに由来します。海外市場が翌々日決済を採用していたため、金利差や需給のずれが東京市場の円相場に特有の動きをもたらしました。輸入企業の決済集中時や、仲値公示レートを意識した投機も相まって、海外市場とは異なる相場が形成されやすかったのです。「TOMO」は「明日」を意味し、東京市場の特殊性を象徴していました。海外の市場関係者はこのTOMO円を注視し、自国の円相場予測に役立てていました。しかし、グローバル化の進展とともに東京市場も国際標準の決済システムへと移行し、TOMO円という言葉は使われなくなりました。今では忘れ去られつつありますが、かつて東京市場が独自の存在感を示していた証として記憶に留めるべきでしょう。