ノンリコースローン

記事数:(2)

ローン

限定求償型融資の仕組みと利点

限定求償型融資とは、借り手が返済不能になった場合、貸し手が回収できる金額を、特定の資産から得られる収益に限定する融資です。通常の融資とは異なり、借り手は全財産で返済義務を負う必要がありません。この融資の利点は、事業が失敗した場合でも、他の財産を守れることです。責任財産となるのは、例えば不動産投資における賃貸収入や、太陽光発電事業の売電収入などです。金融機関はこれらの収益を詳細に分析し、融資の可否を判断します。審査は厳格ですが、借り手はリスクを限定できるため、積極的に事業に挑戦できます。特に大規模事業や高リスク事業に有効です。金融機関にとっては、責任財産の価値変動リスクがあるため、専門知識が求められます。近年、不動産投資や再生可能エネルギー事業で需要が高まり、提供する金融機関も増加傾向にあります。
経済の歴史

危機の時代の遺物:乙女の小路合同会社とは何か

時は西暦2008年、金融市場は未曾有の混乱に見舞われていました。大手投資銀行であるベア・スターンズが経営の危機に瀕していたのです。その原因は、低所得者向け住宅ローン問題に起因する不動産市場の混乱でした。多額の不動産関連資産を保有していた同社は、その価値が暴落し、資金繰りが困難になりました。この状況を放置すれば、金融システム全体に深刻な影響が及ぶ可能性がありました。そこで、米連邦準備制度理事会が介入し、ベア・スターンズの救済に乗り出しました。しかし、同社が抱える全ての資産を引き受けることは、米連邦準備制度理事会にとっても大きな危険を伴いました。特に、ある金融機関が引き取りを拒否した不良資産は、その価値が不透明であり、大きな懸念材料でした。そこで、これらの不良資産を処理するために、特別な受け皿となる会社が設立されることになりました。それが、乙女の小路合同会社、通称メイデン・レーンLLCです。この会社の設立は、当時の金融危機の深刻さと、米連邦準備制度理事会が危機回避のために大胆な措置を講じた象徴的な出来事と言えるでしょう。