
金融危機伝播の教訓:テキーラ効果とは何か
一九九四年から九五年にかけて、メキシコで発生した通貨危機は「テキーラ効果」と呼ばれ、世界経済に大きな影響を与えました。当時、北米自由貿易協定の発効を控え経済の自由化を進めていたメキシコで、通貨ペソが急落しました。この影響は近隣諸国や遠隔地へ連鎖的に波及し、グローバル経済における一国の経済状況が他国に与える影響の大きさを改めて認識させることになりました。特に新興国市場は、その脆弱性からテキーラ効果の影響を受けやすく、投資家の信頼を失い資金が流出、経済が不安定化するという悪循環に陥る可能性を示唆しました。この危機は、各国が経済政策を策定する上で、自国の状況だけでなく、他国の経済動向や国際的な資本の流れを考慮する必要があることを示唆しています。テキーラ効果は、金融危機が世界的な問題として捉え、国際協力の重要性を認識する上で重要な事例です。