
指導なき世界:G零の時代を読み解く
近年、国際社会における主導的な国々の影響力が弱まっています。かつて世界経済を牽引し、国際秩序の維持に尽力してきた国々は、国内問題への注力や経済力の低下などにより、その指導力を弱めています。主要先進七か国や主要先進八か国といった枠組みも、その影響力は低下傾向にあります。より広範な国々を含む主要二十か国・地域も、世界経済の安定と成長を促進するという役割を十分に果たせていません。これらの状況は、国際的な協調体制の弱体化を招き、世界規模での問題解決をより困難にしています。地球温暖化や感染症の世界的な流行、テロ、貧困といった国境を越えた問題に対して、国際社会全体の協力が不可欠ですが、指導力の低下は、これらの問題への対処をさらに複雑にしています。今、世界は、どのように協調していくのか、という根本的な問いに直面しているのです。