
人の発展度合いを示す指標:人間開発指数とは
人間開発指数は、一九九〇年に経済学者のマブーブルハク氏によって考案されました。当時、国の発展度合いは国内総生産(GDP)で測られていましたが、彼はそれだけでは国民の生活の質や幸福度を十分に表せないと考えました。そこで、経済的な豊かさだけでなく、健康や教育といった、人が人として生きる上で欠かせない要素も加味した総合的な指標を提唱しました。こうして生まれた人間開発指数は、経済成長だけでなく、人々の潜在能力を引き出し、充実した生活を送る機会がどれだけあるかを評価します。この新たな発想は開発経済学に大きな影響を与え、国際社会における開発目標の設定や政策立案で重要な役割を果たしています。人間開発指数は、経済成長だけでなく、人々の幸福と福祉を重視する社会を目指すべきという考えを改めて示してくれる、意義深い指標です。