
英国の苦境:過去の轍から学ぶ
「英国病」とは、かつて大国であった英国が、経済の停滞と社会の混乱に苦しんだ時代を指す言葉です。特に昭和40年代から50年代にかけて、経済成長の鈍化、高い失業率、頻発する労働争議などが深刻化し、国全体が病に侵されたかのように表現されました。その原因として、労働組合の強い影響力、低い生産性、政府による過剰な介入などが指摘されました。手厚い社会保障制度が人々の働く意欲を低下させ、国有化された基幹産業が非効率な経営により競争力を失ったという批判もあります。英国病は単なる経済の問題ではなく、社会構造や国民意識、政治体制など、様々な要因が複雑に絡み合った結果と言えるでしょう。この過去の経験から、政府の役割や社会保障制度の在り方、労働市場の柔軟性など、経済成長と社会の安定を両立させるための教訓が得られます。