
環太平洋の経済連携:協力の枠組みとその未来
環太平洋経済協力、通称APECは、一九八九年に当時の豪州首相の提案で生まれました。その目的は、環太平洋地域の経済的な繋がりを深め、発展を持続させることです。当初は日本、米国、加国、韓国、豪州、新西蘭、そして東南アジアの六か国が参加しました。冷戦が終わる頃で、多角的な貿易体制を維持・強化する必要性が高まり、欧州の経済統合が進む中、環太平洋地域にも危機感がありました。設立当初から、参加国は自由で開かれた貿易と投資を進め、経済技術協力を強化し、地域経済の統合を深めることを目指してきました。首脳会議や閣僚会議などを定期的に開き、政策について話し合い、協力事業を行っています。貿易を円滑にし、投資を自由化し、人材を育て、技術を移転するなど、活動は多岐にわたります。環太平洋地域の経済成長に大きく貢献してきましたが、世界経済が変わる中で、新たな問題にも直面しています。電子経済の進展や気候変動、感染症の流行などに対し、どのように対応していくかが課題です。今後のAPECは、持続可能で誰も取り残さない経済成長を実現するために、より重要な役割を担うことになるでしょう。