
国家安全保障と外国投資:エクソン・フロリオ修正条項とは
エクソン・フロリオ修正条項は、一九八〇年代後半のアメリカにおける経済の苦境と安全保障に対する不安から生まれました。当時、アメリカは貿易収支の赤字が拡大し、特に日本からの投資が急増していました。一部からは、これらの海外からの投資がアメリカの産業の基盤を弱体化させ、国の安全を脅かすという声が上がりました。特に、技術関連分野での海外企業による買収は、アメリカの軍事力や競争力を低下させるのではないかと危惧されました。これらの懸念から、議会は一九八八年に包括的通商競争力法を制定し、その中にエクソン・フロリオ修正条項を加えました。この条項により、大統領はアメリカの安全保障を脅かす可能性のある海外からの投資を審査し、必要であれば阻止する権限を持つこととなりました。この条項の名前は、上院議員ジェームズ・エクソンと下院議員エドワード・フロリオに由来し、彼らがこの法案を強く推進しました。