
墨貨危機:新興国市場を揺るがした衝撃
一九九四年十二月、南米某国の通貨である墨貨が大幅に価値を下げられました。これは、固定相場制から変動相場制への移行が原因です。固定相場制は、自国通貨の価値を米ドルなどの外国通貨に固定する制度です。一方、変動相場制では、市場の需給によって通貨価値が変動します。当初、この変更は経済改革の一環と見なされましたが、実際には、新興国市場に大きな影響を与えるとは予想されていませんでした。墨貨の価値引き下げは、同国の経済的脆弱性を露呈させ、海外からの投資資金が一斉に引き揚げられる事態を招きました。この一連の出来事が、後に「墨貨危機」と呼ばれる世界経済に大きな影響を与えたのです。この国の経済政策の変更は、グローバル経済における相互依存の重要性を改めて認識させる出来事となりました。