
所得捕捉率の業種間格差:是正への道
所得捕捉率とは、課税対象となるべき所得のうち、税務当局が正確に把握できている割合を指します。この割合が高いほど、税務署は適正に所得を把握し、公平な課税を実現していると言えます。しかし、現実には、所得の種類や収入源によって捕捉率に大きな差が生じています。例えば、会社から給与を受け取っている人は、源泉徴収制度により所得がほぼ完全に捕捉されます。一方、自ら事業を営む人や農業従事者などは、経費の算定や現金取引の多さなどから、所得が捕捉されにくい傾向にあります。この捕捉率の差は、税負担の公平性を損ない、社会的な不公平感を生む原因となり得ます。政府は、この状況を改善するため、デジタル技術の活用や申告手続きの簡素化、税務調査の充実など、様々な対策を講じています。納税者一人ひとりが税に対する意識を高め、正確な申告を行うことも、重要な課題です。