石油

一九八〇年九月に勃発したイランとイラクの戦は、両国にとって死活的に重要な河川の支配権を巡る争いが発端でした。しかし、その背景には、より根深い要因が潜んでいました。イラクの指導者は、隣国で起きた大変革が自国に波及することを恐れていました。その変革は地域全体に影響を及ぼす可能性があり、指導者にとっては脅威だったのです。また、欧米諸国や周辺のアラブ諸国も、この変革が広がることを懸念し、イラクを間接的に支える姿勢を示しました。この戦は、単なる領土問題に留まらず、地域全体の勢力均衡や宗教的な対立、そして国際的な思惑が複雑に絡み合った結果と言えます。イラクの指導者は、イランの変革直後の混乱に乗じて、河川の支配権を取り戻し、イランの政権を弱体化させることを企てました。しかし、イラン側もまた、自国の精神を守り、イラクの侵略を阻止するために徹底的に抵抗しました。こうして、両国の思惑が衝突し、長期にわたる戦いが始まったのです。戦が長引くにつれて、両国は互いに疲弊し、多くの命が失われました。国際社会は、事態の収拾を図るために様々な調停を試みましたが、両国の対立は深く、解決の糸口は見つかりませんでした。結局、戦は約八年間も続き、両国に深い傷跡を残すことになったのです。