
欧州の安定と成長を支える協定とは
欧州連合、通称EUにおける経済および通貨の統合を円滑に進め、維持するために安定・成長協定が生まれました。一九九七年に採択されたこの協定は、マーストリヒト条約に定められた過度な財政赤字是正の手続きを具体的に適用することを目的とした欧州理事会規則です。経済および通貨の統合とは、EU加盟国が経済政策を相互に調整し、共通通貨ユーロを使用することで経済的な一体化を目指すものです。しかし、各国が独自の財政政策を進めると、ユーロ全体の価値が不安定化したり、特定の国のみが利益を得る可能性が生じます。そのため、EU全体の経済的な安定を保つには、財政政策に関する共通の規則が必要でした。この協定は、各国の財政規律を維持し、健全な経済運営を促すことで、ユーロ圏全体の安定に貢献します。各国が協調して経済政策を行うことで、より強固な経済基盤を築き、世界経済におけるEUの地位向上を目指しています。協定成立の背景には、EUが経済面でも一体となって発展するという強い意志がありました。