銀行規制

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金融政策

世界金融危機を教訓とする金融規制改革:ターナー報告書の核心

二千年代後半の世界的な金融危機は、経済に深刻な影響を与え、社会構造にも変化をもたらしました。この事態を受け、原因究明と再発防止策の必要性が高まりました。そこで、英国の金融サービス機構会長であったターナー卿が中心となり、「ターナー報告書」が作成されました。正式名称を「世界的な銀行危機への規制のあり方」とするこの報告書は、危機分析と金融監督体制の見直しを提言する内容です。報告書は、金融機関の過度な危険負担や金融商品の複雑化、規制当局の監視不備を指摘し、より強固な金融規制の枠組みを構築することの重要性を訴えました。その提言は、世界の金融規制改革に大きな影響を与え、金融システムの安定化に向けた取り組みの基礎となっています。
ルール

銀行の健全性維持に向けた最初の国際的枠組み:バーゼルI

バーゼル合意第一版は、国際的な金融の安定と、各国で業務を行う銀行間の競争条件を公平にすることを目標に定められました。1980年代は、国際的な金融取引が急速に増加した時代であり、各国の銀行に対する規則や監督体制に大きな違いがありました。そのため、一部の銀行が過剰な危険を冒すことが多く、国際金融システム全体の弱体化が懸念されていました。加えて、各国で異なる自己資本に関する規則が、国際的な銀行業務における競争環境を歪めているという問題もありました。バーゼル合意第一版は、このような状況を改善するために、国際的に活動する銀行に対して共通の自己資本比率に関する規則を導入し、銀行の財務基盤を強化し、健全な競争環境を促進することを目指しました。この取り組みは、世界中の金融機関が同じ条件で競争できるようにするための第一歩であり、その後の金融に関する規則の国際的な協調を促すきっかけとなりました。バーゼル合意第一版の導入により、各国は自国の銀行に対する規則を見直し、国際基準との整合性を図る必要が生じました。この過程を経て、金融に関する規則の国際的な調和が進み、国際金融システムの安定性が向上したと言えるでしょう。
ルール

新時代の金融安全基準:銀行経営の健全性を高める試み

一九九〇年代後半から、金融市場は世界規模で繋がりを深め、複雑な金融派生商品が広まりました。従来の自己資本比率に関する国際的な取り決め(バーゼル合意I)では、金融機関が抱える危険性を十分に評価し、管理することが困難になりました。これは、バーゼル合意Iが銀行の信用に関する危険性のみに焦点を当て、市場の変動や業務上の過失といった他の重要な危険要因を考慮していなかったためです。結果として、金融機関はこれらの危険を適切に管理する動機に欠け、金融システムの安定を損なう可能性がありました。また、バーゼル合意Iは、危険性の低い資産と高い資産を区別せず、一定の自己資本比率を適用していたため、優れた危険管理を行う金融機関にとっては過剰な資本の保持を強いるという不公平感がありました。金融システムの安定を保ち、金融機関の競争力を高めるためには、より高度な危険管理手法を導入し、自己資本比率の規制を見直す必要性が高まりました。