1990年代

記事数:(2)

経済の歴史

情報通信網狂騒曲:過去の教訓から未来を築く

四半世紀前、世界は情報通信網という新たな技術革新に沸き立ちました。特に米国では、一九九〇年代末から二〇〇一年頃にかけて、「ドットコム企業」が次々と誕生し、株価は異常な高騰を見せました。パソコンの普及と情報通信網の整備が進み、電子商取引が現実味を帯び始めたことが背景にあります。誰もが情報通信網が経済構造を変革すると信じ、投資家心理を刺激しました。若者たちはこぞって起業し、情報通信網の世界に飛び込み、社会を活性化させました。しかし、この熱狂の裏では、危険な兆候も潜んでいたのです。
経済の歴史

生命保険会社が市場に与えた影響

かつて、わが国の生命保険会社は国内外の金融市場で大きな存在感を示していました。特に昭和後期から平成初期にかけて、集められた巨額の保険料を海外の債券などで運用する動きが活発でした。巨額の資金を運用するために、外国為替市場で頻繁に取引を行い、その規模の大きさから、海外の市場関係者の間では「セイホ」という言葉が広く知られていました。彼らの動向は外国為替レートに大きな影響を与え、市場参加者は常に彼らの動きに注目していました。当時のわが国は高度経済成長期を経て世界有数の経済大国となり、国民の所得水準も向上しました。その結果、生命保険への加入率が高まり、生命保険会社には巨額の資金が流入するようになりました。一方、当時のわが国では低金利政策が採られており、国内での運用では十分な収益を上げることが難しい状況でした。そのため、生命保険会社は、より高い利回りを求めて海外の債券市場に目を向け、積極的に投資を行うようになったのです。