ECSC

欧州共同体、通称ECは、第二次世界大戦後の欧州において、平和と繁栄を希求して生まれました。戦後の疲弊からの再建と、二度と戦火を交えないための協力体制の構築が喫緊の課題でした。そのために欧州各国は経済的な連携を深めることを決意し、その最初の具体的な動きとして、欧州石炭鉄鋼共同体（ECSC）が1951年に創設されました。これは、石炭と鉄鋼という戦争の基盤となる資源を共同で管理することで、国家間の対立を避け、経済的な結びつきを強めることを目的としました。ECSCの成功を受け、1957年には欧州経済共同体（EEC）と欧州原子力共同体（EAEC）が設立され、経済統合の範囲が拡大されました。EECは、関税同盟の形成や共通農業政策の実施などを通して、欧州の経済的な一体化を目指しました。原子力共同体は、原子力の平和利用を推し進め、エネルギーの安定供給を目指しました。これらの三つの共同体が、欧州共同体の礎となりました。