
欧州統合の礎:ローマ条約の意義と変遷
千九百五十七年三月二十五日、比国、仏国、伊国、룩셈부르크、荷兰、そして西独の六か国が、ローマ条約に署名しました。この条約は、欧州経済共同体(EEC)と欧州原子力共同体(EAEC)の設立を目的とし、翌年の一月一日に発効しました。第二次世界大戦後の欧州において、経済統合と政治安定を目指す重要な一歩でした。欧州経済共同体は、関税同盟の形成や共通農業政策の実施、そして共通市場の創設を目指し、加盟国間の貿易促進と経済成長を企図しました。欧州原子力共同体は、原子力の平和利用を推進し、エネルギーの安定供給に貢献することを目的としていました。これら二つの共同体設立は、欧州各国が協力し、共通の利益を追求する枠組み構築において極めて重要でした。ローマ条約は、経済協定に留まらず、欧州の未来を形作る基盤となり、経済繁栄と政治安定を追求する統合された欧州への第一歩となりました。