
欧州自由貿易連合の全貌:その成立、目的、そして特徴
欧州自由貿易連合、略称EFTAは、およそ60年前の西暦1960年に産声を上げました。その設立には、当時の欧州における経済的な連携を深めようとする動きが大きく影響していました。第二次世界大戦後の欧州では、経済の立て直しと安定を目指し、様々な地域での協力が模索されていました。その中で、より強い経済的な繋がりを目指す欧州経済共同体、通称EECが生まれました。しかし、EECへの参加は、政治的な側面や国家としての独立性を一部譲る必要があり、全ての国がすぐに参加できる状況ではありませんでした。そこで、EECに参加しない、あるいは参加を見送った国々が、自由な貿易の恩恵を受けつつ、より緩やかな形で経済協力を進めるために結成されたのがEFTAなのです。当初の加盟国は、英国、オーストリア、デンマーク、ノルウェー、ポルトガル、スウェーデン、スイスの7か国でした。これらの国々は、それぞれの事情からEECへの参加を見送りましたが、ヨーロッパの一員として、経済的な結びつきを維持し、強化することを望んでいました。EFTAの設立は、このような時代背景の中で、各国の思惑と必要性が合致した結果と言えるでしょう。EFTAは、EECとは異なる方法で、ヨーロッパの経済的な連携に貢献することを目指しました。それは、域内の自由な貿易を促進しつつ、各国の独立性を尊重するという、バランスの取れた道を選択することでした。