
物価で測る為替相場:購買力平価説の基礎
購買力平価説は、百年ほど前に唱えられた、為替相場の決定要因を説明する理論です。この理論の核心は、ある国のお金で買える物の価値が、別の国のお金で買える物の価値と比べてどれだけ違うか、その差が為替相場に反映されるという考え方です。平たく言うと、同じ物がどの国でも同じ価格で手に入るように為替相場が調整されるという考えです。例えば、日本で四百円の品が、米国で四弗で売られているとします。この場合、購買力平価説では、為替相場は百円=一弗となるはずです。もし相場がこれより円安なら、人々は米国で買うでしょう。結果、弗の需要が増え、円の需要が減り、相場は百円=一弗に近づくと考えられます。ただし、実際の為替相場は、貿易や金利、投資家の心理など、様々な要因で変動するため、この理論から大きく外れることもあります。したがって、購買力平価説は、長期的な相場の方向性を示す指標として捉えるのが良いでしょう。国際経済を理解する上で基礎となる重要な考え方です。