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経済の歴史

平成二十年金融危機の真相:劣悪債権問題とは

約十五年前、世界経済は未曽有の危機に見舞われました。その引き金となったのは、米国の住宅市場における異変です。当時、米国では住宅取得が容易な状況でしたが、その裏で信用力の低い層への住宅ローン、いわゆる劣悪債権が拡大していました。これは高金利であり、返済能力に不安がある人々への貸し付けでした。そして二千六年、米国の住宅価格は下落に転じ、状況は悪化します。これまで上昇を続けていた住宅価格の下落は、多くの住宅所有者に深刻な影響を与えました。特に、劣悪債権を利用した借り手は、住宅価値がローン残高を下回る状況に陥り、経済的な苦境に立たされました。この状況が、世界的な金融危機へと発展していくことになります。
金融政策

量的緩和第三弾について

量的緩和第三弾、通称QE3は、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会が、二〇一二年九月に導入を決定した金融政策です。これは、二〇〇八年の金融危機からの経済回復を促すための一連の政策の第三段階にあたります。量的緩和とは、中央銀行が市場にお金を供給し、経済活動を活発化させる政策です。QE3では、住宅ローンを担保とした証券を毎月四百億ドル購入するという、購入総額を定めない方式がとられました。これは、住宅ローン金利を引き下げ、住宅市場を活性化させることを目指したものです。当時、住宅市場は金融危機の影響から立ち直っておらず、経済全体の重荷となっていました。また、事実上の零金利政策の継続期間を二〇一五年半ばまで延長することも決定されました。これは、市場に対して、長期にわたって金融緩和政策を維持するという意思を示すもので、企業や個人の投資活動を促す狙いがありました。